館報まっさき 第313号(令和3年1月20日発行)

学校統合白紙となる

大船渡・末崎地区学校統合推進協議会(会長新沼眞作)は去る12月21日に開催された第14回同推進協議会において、大船渡中学校と末崎中学校の統合を白紙にするとした。
これまで、二つの学校の統合に向けた話し合い(協議)は、これまで、大船渡・末崎地区学校統合合同協議会(3回)、同学校統合推進協議会14回の計17回行ったが合意に至らなかった。
大船渡地区と末崎地区、隣接しているものの置かれた状況(環境)は大きく違い、容易に統合することを阻んだ。まず、生徒数を比較すると大船渡中学校は末崎中学校のおよそ2倍あり、単独で存続できる状況下にあり、統合は喫緊の課題と捉えていないことである。また住民の中には、人数の多い方に従うのが当然ではないかという考えもあり、大船渡地区では末崎の生徒が来るのであれば受け入れてもいいという考えであった。

それ故、統合するなら編入統合でお願いしたいといってきた。編入統合というのは、二つの学校であれば一つの学校を廃校にして統合するというもの。具体的にいえば、末崎中学校を廃校にして大船渡中学校と統合する。大船渡中学校の教育システムをすべて受け入れて入学することを条件とした統合である。
これに対して、末崎地区は、新設統合を望んだ。新設統合というのは、統合対象校(大船渡中学校と末崎中学校)は、それぞれ閉校し、対等平等関係で統合し、新たな学校を設置するというものである。二つの学校が互いに知恵を出し合い魅力ある学校をつくるのである。当然、校名も、大船渡でも末崎でもない新校名が望ましい。新校名になれば、生徒は生徒数の多少にかかわらず、対等平等にして新しい学校に共に入るという意識になり、生き生きと夢と希望を持って通い、目標に向かって意欲的に取り組むようになると考えたからである。
さらに、統合するとなれば、校舎は大船渡中学校の校舎を活用することになっているので、末崎の生徒は否応なしに大船渡まで通わなければならない。外見上、編入統合のように見られなくもないので、何としても新校名にしなければならないと思った。
このように、統合にあたっての入り口のところで両地区の考えに大きな隔たりがあったことから、教育委員会は、これでは統合の話し合いにならないと考え、大船渡地区に働きかけ、第3回大船渡・末崎地区学校統合合同協議会において大船渡地区は新設統合とすることに合意した。
平成31年度(令和元年度)より統合を進めるため大船渡・末崎地区学校統合推進協議会が設置され、校名、校歌、校章等の協議に入った。第5回の推進協議会において、平仮名の「おおふなと」を校名として決定したが、大船渡住民から反対の嘆願書や大船渡中学校内における反対の署名活動が行われたことから、平仮名校名を白紙にした。
 令和2年度になりPTAの役員もかわり、推進協議会委員も新たな顔ぶれになった。新委員による新たな発想を期待し、より良い統合をめざして校名から順に決定していくこととして協議に入った。末崎地区から新しい校名として「大船渡翔洋」と 「大和」の二つを提案したが、大船渡地区は、「大船渡」一つであった。協議していく中で、大船渡地区としては、もともとアンケートで明白のように多くの人々は編入統合を、そして校名は「大船渡」を望んでいたので、「大船渡」でなければ受け入れられないとなった。これは、前述のとおり大船渡地区では平仮名校名で騒動が起き、推進協議会委員が厳しい非難を浴び、批判された経緯があることから校名は「大船渡」しか挙げられなかったように思われる。
末崎地区が当初から希望していた新校名、新校歌、新校章は難しいとしても、新校名に同意してくれるならば、大船渡の校歌、校章を採用してもいいとしたが、校名は「大船渡」でなければ受け入れられないということであった。さらに、校名は大船渡、校歌、校章は末崎のものを採り入れることについて問うたが、校章は末崎のものでいいが校歌は新しいものでなければならないということであった。これで末崎の望むものは何一つ得られなくなったので話し合いの糸口を見出すことはできなかった。
よりよい統合というのは、現状の課題がいくらかでも解決され、生徒がのびのびと学校生活を送り、個性の伸長と目標に向かって挑戦できる環境が整えられることだ。しかし、末崎の場合どうだろう、統合すれば学校が無くなる。生徒は永久に大船渡に、スクールバスで(制約を受けながら)通わねばならない。保護者においても大船渡までの送迎は時間と費用がかかり負担が大きくなる。
さらに、文化交流の拠点である学校が無くなれば地域から灯が消えるがごとく、末崎町の衰退が懸念されることから、残すべきだという考えもあり、末崎の意向が受け入れられないとなれば話し合いの余地がない、今は統合すべきでないと考えた。
 最後となった第14回推進協議会においては両地区から、これ以上話し合ってもどうにもならないので、ここで打ち切るべきだとの意見が出され、かつ、統合を白紙にすることに委員全員が同意したので、この統合は白紙となった。
 統合を望んでいた方々もおられたと思いますがご理解くださいますようお願い申し上げます。