館報まっさき 第308号(令和2年8月20日発行)

新たなまちづくり市政懇談会

復興後の新たなまちづくりに向けた市政懇談会が7月30日、ふるさとセンターにおいて開催され、末崎町の方々も30人程参加し要望・提言をした。
大船渡市は、平成23年度に策定した「大船渡市総合計画」は令和2年度が最終年度になることから、長期的な視点に立って、持続可能で自立した地域社会を創るため、令和3年度を初年度とする新しい総合計画の策定を進めている。
このことから、市では市民の提言を次期総合計画に反映させるため、7月16日から8月24日までの日程で市内各地区に市長はじめ各部長が出向き懇談会を開催している。
 末崎地区における市政懇談会では、はじめに戸田市長が市の取り組みについて説明した。内容(要点)は以下のとおりである。
将来の大船渡市を考えると、テーマは二つ。一つは震災からの復興の「総仕上げ」と整備後のモノ・コトの「活用」。二つ目は人口減少の「歯止め」である。これらを踏まえた施策を展開しながら、「持続可能なまちづくりを実現」する。

1 震災からの復興の「総仕上げ」と整備後のモノ・コトの「活用」

 大震災から9年。取組と成果、課題をあげると、事業数で約87%が完了、または目的達成。金額的には約95%まで進捗している。
これから取り組むべきこととして
・完成に至っていない事業の迅速かつ丁寧な仕上げ。
・復興により整備・構築されたモノ・コトの積極的な活用。
今後の具体的な課題として
 ①市中心部の復興まちづくり
 ②市中心部以外の被災跡地の利活用
 ③被災者の心の復興等への支援
 ④モノ・コトの活用から、持続可能なまちづくりへの展開
 の4点を挙げた。

2 人口減少の「歯止め」

①人口減少が進む大船渡市
 大船渡市の人口は減少し続けている、平成2年と平成30年を比較すると11222人減少(△26・7%)している。
・年少人口(15歳未満人口)5002人減(△58・1%)
・生産年齢人口(15~64歳人口)12474人減(△39・3%)
・老年人口(65歳以上人口)6254人増 (+90・6%)
②大船渡市の人口動態の推移
・自然減(出生数が死亡数を下回っている)
・社会減(転入が転出を下回っている)
③大船渡市の出生数・合計特殊出生率の推移
・出生数は減少傾向。平成2年と平成29年を比較すると△56・2%、272人減。
・合計特殊出生率は減少を続け、平成16年に1・30を底に若干増加。平成21年以降は増加傾向にあり、平成27年は1・81、平成28年1・63、平成29年1・61となっている。
合計特殊出生率とは、一人の女性が一生に産む子供の平均数。
④このまま進むと10年後には人口3万人未満に
・2035年(令和17年)には高齢者を支える状況が肩車のように一人で一人を支える構造になる。令和元年12月31日現在35849人、令和12年には、3万人を切る見込みである。
⑤人口減少が与える影響
・人口減少は市の財政、地域経済、医療・福祉・介護、教育・子育て、交通・住まい、コミュニティなど、様々な分野に甚大な影響を及ぼす。地域を持続させていくためには人口減少に歯止めが必要。
・喫緊かつ最重要課題として、施策を総動員する。
⑥大船渡市の人口ビジョン(減少をより緩やかに)
・合計特殊出生率を1・61から1・8に、さらに2・1に上昇。
・年間転出入数均衡へ。
⑦人口減少はすぐには止まらない
 ・人口の自然増減が均衡する目安は合計特殊出生率2・1以上。しかし、合計特殊出生率2・1を達成しても、直ちに人口減少が止まるわけではない。少なくとも80年から90年かかる。故に、人口減少に歯止めをかけるには、長期にわたり、合計特殊出生率2・1を維持する努力が必要である。

3 大船渡市総合計画の「重点プロジェクト」

 令和元年度に策定した第2期大船渡 市まち・ひと・しごと創生総合戦略を進める。
①総合的な戦略で地域活性化に取り組む
・人口減少に歯止めをかけるため、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を多様な主体と協働で展開。
まち・ひと・しごと創生総合戦略とは
イ、大船渡にしごとをつくり、安心して働けるようにする。
ロ、大船渡への新しい人の流れをつくる。
  ハ、大船渡で安心して家庭を築き、子どもを産み育てられるようにする。
  二、大船渡で生涯暮らし続けられる地域をつくる。
②持続可能なまちづくりの実現
・復興需要のピークは過ぎたが、市内経済は震災前に比べ高い水準となった。しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大により経 済は下振れの見通し。
 ・手厚い支援策を講じながら新型コロナウイルスと共存し、コロナウイルス前の状況に回復させて、持続可能なまちづくりを実現する、と取り組みについて説明した。

末崎町民からの要望・提言

1碁石浜の砂利が波によって持っていかれるので、沖合に波よけブロック等投入するなど対応策を講じてほしい。
 2碁石浜のゴミ処理について、どう処理すればよいか。
 3観光客からトイレがないかと聞かれる。観光地としてトイレがないのは恥ずかしい。碁石浜の近くにトイレの設置をお願いしたい。
 4小河原地区の銀河農園前がバス路線になったことから歩行者の通行が厳しい。側溝に蓋をかけてほしい。
 5市営球場に照明施設を設置してほしい。
 6新県道が整備されれば中学校前の道路の通行量が増す、しかも、大型のバスが通行すると思われるので道路の拡幅をお願いしたい。特に滝田医院のところが狭いので配慮願いたい。また、内陸との交流道路についても検討してほしい。
 7ILCに対する現在の取り組みについて、説明を求めた。
 8民宿「海さんぽ」前の土地について、被災跡地利用ということで埋め立て中である。現在碁石地区振興協議会では復興まちづくりプロジェクトの一つとして「浜の停車場」構想がある。配付の図面のように色々考えている。考慮願いたい。
などの要望、意見、提言がなされた。