末崎の公共交通を考える
大船渡市では、末崎地区に適した移動サービスを検討するため、「末崎地区の公共交通に係る意見交換会」を1月29日、ふるさとセンターで開催した。
1 大船渡市内公共交通の現状
大船渡市では、①大船渡線BRT、②三陸鉄道リアス線、③路線バス、④デマンド交通、⑤患者輸送バス、⑥タクシーなどが運行されている。
2 大船渡市の公共交通に求めら れていること
これまでの公共交通に求められていたことは、大量輸送性と公共性(誰もが乗れる)であった。
それが、社会環境の変化(①交通事業者の運転手不足・働き方改革 ②高齢化社会・高齢者による交通事故の増加・免許返納 ③環境問題 ④地域経済の低迷 ⑤人口減少の中でも持続可能な都市づくり)により、公共交通に求められることは大きく変わった。
★これからの公共交通に求められること
① 仕事、買物、通院、観光といった色々な目的を持った人々の、中心市街地や各地域移動をしやす くする。
② 高齢者や学生等の交通弱者の、日常生活での移動を安心・安全なものにする。
③ 限られた予算の中で効果的・効率的な移動手段を確保する。
④ 地域公共交通の利用促進に地域全体で取り組み、持続可能な地域公共交通を「創り、守り、育てる」ことである。
3 末崎地区の公共交通の現状
(1)末崎地区の公共交通
<路線バス> 細浦経由高田線(往き1便、帰り1便)、碁石線(往き3便、帰り3便)
細浦駅、碁石海岸口駅(上り26便、下り27便)
<タクシー>(高田交通など)
(2)公共交通の利用状況(県交通 の場合)
細浦経由高田線の状況、
(平成30年度)輸送人員1万527 1人(前年比約2000人減) 1便当たりの利用者数は21人、 約400万円の赤字。赤字分は 県、大船渡市、陸前高田市で負担。
碁石線の状況
(平成30年度)輸送人員4万53 89人(前年比1万5700人増) 1便当たりの利用者数は21人、 約700万円の赤字。赤字分は 被災地特例により、平成30年度 までは、国が負担。
(3)タクシーチケットの利用状況
116人に交付、使用率は2割。 利用者の4割が運賃2000円 以上の長距離移動をしている。
※タクシーチケットは、つぎの 要件すべてに当てはまる方に配 付される。
①大船渡市に住民登録している方
②令和2年3月31日までに75歳 以上になる方
③自宅と最寄りのバス停までの 距離が300m以上離れている方
④運転免許を持っていない方
⑤大船渡市福祉タクシー助成を 受けていない方
<チケット配付枚数>末崎地区の 場合500円×36枚
<使い方のルール>1回の乗車に つき運賃が1000円以上であ れば1枚、2000円以上なら 2枚と1000円ごとに追加し て利用可能。
4 今後の公共交通の方向性
市当局では、末崎地区でのデマンド 交通の導入検討している。
※デマンド交通とは、利用者がいる 時だけ、利用する区間だけを運行す る公共交通。
同じ時間、同じ方向に利用したい人が複数いる場合は同乗して運行。
(1) 乗り降りできる場所(制限がある)
・末崎町内は乗降場所の制限はな く、自由に乗降できる。
・末崎町内(自宅前も可)からマイヤ大船渡店、大船渡駅、大船渡病院、市役所、盛駅、サンリアなど地区外の指定施設まで。
(2)料金(定額運賃でタクシーより安い)
・1人1回(1乗車)
・末崎町内:500~1000円
・末崎町内から大船渡地区: 1000~2000円
・末崎町内から盛地区: 1500~3000円
(3)利用の仕方(年齢や利用回数 に制限がない)
・事前の利用者登録が必要(誰 でも登録できる)
・電話予約(午前便は前日まで、 午後の便は当日の10時まで)
(4)運行便数(平日のみ運行、利 用できる時間帯や便数に制限 がある)
往きは3便、帰り3便の予 定。運行日:月~金(土日祝 日を除く)
市内の公共交通(路線バス) は、利用客も少なく、ほとん どが赤字路線である。
赤字分を市が業者に支払って運 行を維持している。市は財政が 厳しくなっていく中、逆に負担 が増していることから持続可能 な公共交通は何かを検討してい る。末崎地区においては、デマ ンド交通が望ましいのではない かと考えているが今後さらに地 域住民と協議しながら進めてい くとしている。