社会保障制度と負担増
年金や介護、医療などの社会保障制度で負担の引き上げを検討する国の議論が加速している。その中心となっているのは、高齢者の負担の見直しである。それは、今後、社会保障の財政が急激に厳しくなることが予想されるからである。
令和7年には、昭和22年から24年の第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」(約800万人)が全員75歳以上になり、後期高齢者(75歳以上)人口は、約2,180万人にも達する。4~5人に1人が後期高齢者になり、日本は超高齢化社会に突入すると考えられている。
一方、生まれた子供の数・出生数は、昨年81万人余りで、従来の予測(平成29年に実施した推計では86万9千人)を大きく下回った。これによって将来、社会保障を支える現役世代(労働人口)が想定以上に減り続ける可能性が出てきていることである。
以上のような状況から、国は制度を維持していくため、高齢者の負担を可能な範囲で増やせないか、検討しているのである。
具体的な内容をみると
1,年金
国民年金の保険料の納付期間を延長するかどうかが検討されている。
原則は、20歳から60歳になるまでの40年間となっているが、これを65歳になるまで5年延長するかどうかが焦点である。
2.介護
介護サービスを利用した時の負担割合について議論されている。
介護の費用負担は原則1割であるが、一定以上の所得がある人は2割、現役並みの人は3割となっている。この2割と3割負担の人を拡大するかどうかである。
3.医療
10月から病院の窓口で支払う医療費の負担割合は、75歳以上の一部の人で、従来の1割から2割に引き上げられた。
また、自営業者や非正規労働者などが加入する国民健康保険。その保険料の上限の額を年間で2万円引き上げる方向で検討が進められている。
(参考資料NHK時論公論等)