館報まっさき 第331号(令和4年7月20日発行)

オミクロン株「BA・5」の特徴

7月15日、全国で10万3311人の新型コロナウイルス感染者が確認された。感染者が10万人超えるのは2月8日以来で、過去2番目の多さである。流行「第7波」の勢いに歯止めがかからない状況である。この急拡大しているウイルスはオミクロン株の「BA.5」といわれる。8月中にはほぼ100%「BA.5」に置き換わるのではないかともいわれている。「BA.5」の感染力、症状、ワクチン効果に係るNHKの資料によれば、つぎのとおりである。
東京都内の感染状況を分析した国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は6月30日、再拡大の要因を4つ挙げた。それは、①暑さ(冷房で換気が悪い)②人出(接触機会が増加している)③免疫(感染あるいはワクチン接種しているが免疫の効果低下の人が増加している)④変異(オミクロン株BA.5に置き換わっている)である。「BA.5」はオミクロン株の一種で、2022年2月に南アフリカで確認された後5月以降、欧米を中心に広がっている。WHO(世界保健機関)によると、6月中旬の段階では、世界で検出される新型コロナウイルス全体の40%ほどを占めているという。また、アメリカの疾病対策センターによると、7月2日現在、アメリカで新たに報告された新型コロナウイルスの感染者のうち、オミクロン株の「BA.5」の割合は53.6%となっており、感染の増加に影響していると考えられている。
さらに、イギリスの保健当局の6月24日の発表によると、「BA.5」は、それまで主流であった「BA.2」と比べて、35.1%速く広がっているとみられているというのである。

「BA.5」の特徴
 海外の情報や国内の感染状況から、わかってきた「BA.5」ウイルスの特徴を列挙すると次の通りである。
①「BA.5」の性質
「BA.5」はウイルスの表面にある突起で、細胞に感染する際の足がかりとなる「スパイクたんぱく質に「L452R」などの変異が起きていて、免疫を逃れる
性質がある。WHOによると、「BA.5」は、ウイルスの働きを抑える中和抗体の効果が当初広がったオミクロン株の「BA.1」に比べて7分の1以下になったという実験結果があるということである。また、ワクチン接種や感染によって得られた免疫が時間の経過とともに弱まってきていることも感染の広がりにつながっているとみられている。
②感染した場合の重症化
感染した場合に重症化しやすいかどうかについてWHOは6月22日の週報で「BA.1と比べて変化している情報はない」としているほか、ヨーロッパ疾病予防管理センターも6月13日の報告で、データはまだ限られているとした上で、「重症度が増しているという証拠はない」としている。
③ワクチンの効果
ワクチンについて、イギリスの保健当局は5月下旬までの1か月余りの間に感染した人のデータを分析したところ、「BA.5」に感染した人と「BA.2」に感染した人との間で、ワクチンの効果に大きな違いはなかったと報告している。
 東京医科大学 濱田篤郎特任教授は、「BA.5」は、いままで流行していたタイプのオミクロン株に比べて感染力がやや強く、免疫を持っている人もかかってしまうことがある。少なくともワクチンを2回しか受けていない人はかなりかかりやすいと思った方がよく、3回目の接種を早めに受け手ほしい。特に高齢者は時期が来たら4回目の接種を早めに受けてほしい。また、感染した場合の重症度は従来のオミクロン株と同程度だとされているが、感染者数がどんどん増えれば。重症になる人もでるので、注意が必要だ、といっている。
 あらためて、こまめな手洗い、屋内でのマスク着用、三密(密閉、密集、密接)にならぬように、そして換気にも気配りを。会食時は少人数で短時間にとどめてできる限りマスク会食で、といったこの2年半で身についた基本的感染対策をしっかり続けていきましょう。