館報まっさき 第326号(令和4年2月21日発行)

細浦漁港防潮完成間近(フラップゲート式)

日本初、世界初ともいわれるフラップゲート式防潮堤の完成がまぢかとなった。すでに基本的な工事は終了し、あとは、つぎの試験を実施するのみとなった。
・安全周知設備試験放送:2月28日午後2時から午後4時までに実施される。
・遠隔制御試験:3月2日に県庁からフラップゲートの浮上のボタンを押して衛星で細浦漁港防潮堤のゲートを浮上させる試験である。
この2つの試験で問題がなければ、県の最終検査と事務手続きを経て供用開始となる(予定は3月末)。

このフラップゲート式工事の発注は平成28年7月であることから6年の歳月をかけて完成となる。この大半は基礎工事に費やした。海底の地盤は、上はヘドロ、その下が砂地と軟弱。さらに、その下が岩盤である。その岩盤も極めて硬く、かつ平でなく傾斜していたので盤盤づくりが難航した。
 初め地盤の安定化を図るため重しとなる石を投石し、次に杭打ちとなったが容易に刺さって行かないなど難しい工事となった。
フラップゲート本体の設置では、日立造船(株)が本体を大阪の工場で作り曳航して運び、海底に設置したのであるが、本体を留める杭と本体がピタリと合わず大変苦労したと日立造船(株)の現場代理人青山氏が語る。
日立造船(株)では、2003年(平成19年)に津波と高潮対策として、開発をスタートさせ、色々な方式を検討したが最後に残ったのがフラップゲート式だった。 色々実験し、実用化としての最初の工事が細浦漁港の防潮堤だという。
ちなみに、このフラップゲートはじめ関連の工事の総費用はおよそ80億円を要したといわれる。陸上と違い海の中の工事ゆえ前述のとおり難工事だったことがうかがえる。工事に携わった方々に感謝を申し上げたい。この防潮堤は、どんな津波も100%防御できるわけではないにしても、地域住民はじめ漁業に携わるすべての 人々の生命と財産を守る大きな役割を果たすものと信じて止まない。