これからの山林管理
所有する山林を如何に維持管理していくかが喫緊の課題である。かつては、杉や松を植林し下草刈りや枝打ち、間伐など山林の手入れは欠かさなかった。立派に成長した木は伐採し売却するなり、家を建てる用材として自己活用を図ってきた。また、伐採後は直ちに植林し管理していくのが当たり前だった。建築材料は主に杉か松、需要もあり価格も高かった。しかし、外国から安い木材が入ってくると国内産が次第に安くなっていった。それに伴い山林の手入れをしなくなり、どんどん山は荒れていった。
現在は売却してもほとんど利益がでない。売却代金から、植付け費や枝打ち、間伐等の管理費、伐採、木だしの費用を差し引くと利益はでない。まさに植林から60有余年、投下した資金を考えると採算が合わない。特にも現在は山林の維持管理の費用(主として人件費)が高騰しているので、伐採後、植林を諦めてしまう。
この状態に危機感を持った国は、森林は、水をはぐくみ、山地災害などから国土を守るとともに、豊かな自然環境の形成を通じて、私たちの生活に潤いと安らぎを与えてくれている。また、地球温暖化防止の観点からも、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の吸収源としての役割を担っている。このように大切な役割をもつ森林は、いわば「緑の社会資本」として国民共通の財産となっている。
そこで、森林を育成し健全な状態に保つ作業に対して、国と都道府県による補助制度を設けた。それが、植え付け、下刈り、除伐、保育間伐・間伐、更新伐、鳥獣被害対策・荒廃竹林整備、路網整備等に対する補助である。
ただし、計画書を作成して提出し認可を受けること。計画書は森林組合などで見積りを含め作成してもらうことが望ましいとしている。補助率は、国と県で68%、市が12%で、計80%である。
この補助制度を活用して植林すると、およそ次の費用が個人負担となる。地拵え・植え付け・苗木代は1haあたり200,000円、鹿等の食害防止ネットの整備費は、1haあたり52,000円。さらに、下刈りの費用は、1haあたり20,000円がかかるとされる。
いま、山の問題で対応をせまられているのは、末崎町公益会の分収林である。
かつて、末崎愛林公益会(現在の末崎町公益会)から借りて植林した分収林(部落林)が伐採・売却適齢期とされる
60年をすでに経過している。ほとんどの地域では、伐採または立ち木のまま売却したら、借用地は末崎町公益会に返却すると決めている。末崎町公益会としては、返却された山をどのように活用すべきか、悩んでいるところである。多くの費用がかかるが植林すべきか、何か観光資源になるものはないか。また、3月に閣議決定され、国会で審議中となっている「森林経営管理法案」による「新しい森林経営管理制度」を一部活用すべきか、深く考えていかねばならないと、末崎町公益会の上部理事長は話している。