館報まっさき 第273号(平成29年8月21日発行)

内田貝塚発掘

 岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターは、このほど内田貝塚の発掘調査を行った。8月5日には、現地説明会を開き出土品や竪穴住居跡について説明を行った。
この発掘調査は、新県道(主要地方道大船渡広田陸前高田線、船河原から平まで)の工事に伴う路線にかかる部分の遺跡の発掘調査として6月から10月までの予定で行われているものである。広範囲にわたることから今回は中間での説明会を開いた。
 内田貝塚は末崎町内田54地内にあり、標高45mほどの細浦湾は勿論のこと大船渡湾が一望できる比較的高い見晴らしのいい場所にある。また当時はそばに川も流れていたと言う。およそ5000年前(縄文時代前期)の貝塚であり、岩手県で最も古い貝塚の一つである。

 縄文人が使った道具、土器や石器、動物の骨で作った釣り針、貝を削って作ったブレスレット(貝輪)が見つかっている。食べていた貝や魚、動物の骨もたくさん見つかった。また約4500年前の縄文時代の家のあと(竪穴住居跡1棟)も見つかりました。南北に6.5m、東西に5.8mのやや四角形の大きさの住居である。発掘されたのは一棟であるが貝塚の量からして多くの住居があったことが推測されるとのことであった。
動物の骨よりマグロの骨のほうが多く、動物よりおいしいマグロを好んで食べていたこともわかった。
<内田貝塚から見つかったもの>
貝殻:小さい巻貝(ツブ貝やカキなど)や二枚貝が多く見つかっている。ただし、ほとんどが、長い年月の中で、粉々になっている。
魚などの骨:マグロ(多数)、イルカ、アシカが見つかっている。特にマグロの骨が多く驚かされたとのこと。
動物の骨:シカやイノシシの骨ではないかと思われる動物の骨(破片)が見つかっている。骨角器:釣り針1点。岩手県内で見つかっている最も古い釣り針も、5000年前のものなので、今回見つかった釣り針は、県内で最も古いものの一つと言える。
貝輪:大きな二枚貝を削って作ったブレスレット。3分の1ほどに壊れているが貴重なもの。
<発掘調査からわかったこと>
内田貝塚は、海から見て高いところにあるが、海の幸を丘陵の上まで運び食料としていた。食べていたものは、ツブ貝やカキなどの貝やマグロなどの大きな魚やイルカ・アシカであり、縄文人は、現代の我々がみても美味しそうだと思うものを食べていたことが想像される。また、釣り針が見つかりましたが、わずかであるので、当時は大がかりな釣りなどしなくとも、湾内で大きな魚がとれていたものと考えられると埋蔵文化財センターの調査員の方々が話しておられた。(発掘資料参考)