館報まっさき 第246号(平成27年5月20日発行)

急がれる被災跡地の利活用

大船渡市は東日本大震災による被災跡地の利活用について、住民の提言を踏まえた方 針と実現化方策づくりへのスケジュールを今年3月末までとしていたが、「時間をかけて話し合いを」という声に応じ、大船渡(地の森、下船渡)、末崎(細浦、小河原、泊里)、赤崎については、本年度末までに方向性を固めると見直した。
  末崎町の現段階での被災跡地の利活用の方向性(案)は、つぎのとおりである。細浦地 区は、長源寺参道を挟んで、商店街と公園(または多目的広場)を設ける。碁石地区(泊里)は①多目的広場を設ける。②防潮堤を活用した避難路の整備を望む。小河原地区については、中央地区で何度も話し合われたが方向性が見出されず、現在白紙の状態である。これまで、安全で安心して暮らせる住みよい、新たなまちづくりをするため、各地区とも被災跡地利用について何度も協議し検討してきたが、理想から後退せざるを得なくなった大きな要因は、土地問題である。市では防災集団移転事業に係る方、災害公営住宅に入居する方の被災跡地は市で買い上げるが他は買わないとした。そのことによって、目的にかなうようなまとまった土地にならない。虫食い状態になっているところは極力換地をお願いしてまとまった 土地にして利活用したいとしているが、容易ではない。 
  さらに、5月12日に国(復興庁)は平成28~32年度の復興予算基本方針を発表し、復 旧復興事業にかかる自治体負担を実質ゼロとする集中復興期間は延長せず、被災者支援 やインフラ復旧、高台移転等の基幹的事業を除いては、自治体にも一定の財政負担を求めるとした。当然被災跡地の利活用に係る費用も削減されかねない。遅れれば遅れるほど厳しくなるとの声も聞かれる。
  それだけに、早急に被災跡地の利活用の方向性を決めなければならない。